箱根旅行二日目(4) [おでかけ]
大胆にいろいろやってくれる父、地味に、でもしっかりやってくれる弟
家庭内唯一の常識人のように見えながら、やっぱりやってくれた母。
こんな家族との旅行も、ようやくおしまいに近づいてきた。
予定では、このあと、湯本に戻り
名物のソバを食べて、のんびりおみやげを買ってから
予約してあった電車で帰るはずだった。
しかし、父は朝ごはんの食べすぎで、まだまだお昼が入らないという。
(ごはんおかわりして…てんこ盛りのベーコンを食べればそりゃそうだろう…。)
弟は、駐輪禁止の場所に停めておいた自転車が、お役所に持っていかれて
この日の夕方までに保管所に取りにいかねばならないらしい。
そんなわけでソバは取りやめ、早めに帰ることにした。
湯本駅を遠ざかる電車のなかで、父がひとこと。
「ねーちゃん、今度はソバがいいな!ソバ食おうなっ!」
…今度があるんですか?また一緒に来るんですか??私もっ!?
聞こえないふりをして母と話し込む。
「ねぇ?美術館とか博物館とかいっぱいあるねぇ。
これ、駅全部いっこづつ降りてまわったら、楽しそうねぇ♪」
母、お願いです。そんな火に油を注ぐようなことを今言わないでください。
お願いしますっ。
父母から、次回はおまえがみんなの宿代を持てと言われた弟。
すっかりその気になり、いくらくらいかかるものか聞いてくる。
あー…ごめん…。今までなんの家族サービスもしなかった私がわるかったよ…。
だからお願い…。次回は4年後くらいでどうですか…?
今年の夏とか言わないでくださいよ~。
とにもかくにも、みんなが満喫してくれたようで、本当によかったなぁと
しみじみしているうちに小田原につく。
ここで、切符を予約してあったものから変更することになる。
「このへんで適当におみやげ見ながら待っててね。遠くいっちゃだめだよ。」
そういい残し、緑の窓口に向かう私の背中に、父の大声が追ってくる。
「ねーちゃんー!この『小田原』って書いてある店で待ってるからなぁー!」
父ー!ここは小田原なんですよっ!
全部の店に『小田原』って書いてあるじゃないですかぁあああっ!
帰りの電車の中、お金は自分達が出すから、次は北海道を予約してくれと
延々言われ続けて東京に戻った。
そして、今度はうちのひとも一緒に来いと、さんざん誘ってくれた。
うちのひとは、私の前ではかなり飄々としているが
こういう濃い人達の前では、静かで気の毒なくらいな
借りてきたうちのひとになってしまうのだ。
「それだけはかわいそうだから、やめてやってくれ…」と繰り返し頼む私に
「なんで?」と純真なまなざしをキラキラさせて訊く父。
すごいよ…父。こんなにぐったりしている私を見ても、何も気づかないとは…
ほんものだ…。やっぱりかなわないよ…。
こんな感じで、25年ぶりの家族旅行は、とても和やかに終わった。
予定時刻より早く帰った私を、うちのひとが、デパ地下のごちそうと冷えたビールで
ウキウキと迎えてくれた。
うちのひとは、ビール片手にわくわくと「父のやってくれたバナシ」をせがみ
うれしそうに笑いながら聞いていたが、
最後にひとこと
「今度は、是非一緒にって言ってたよ。」と付け加えたとたん
きゅっと黙り込み、それでも微笑をたたえたまま
あとずさりでキッチンに消えていったのであった。
お疲れさまの親孝行さんに、ポチッとな。
by nori_blog (2005-06-22 00:13)
お疲れ様です^^今回も笑わしてもらいました・・・w
by ボヤッキー (2005-06-22 16:20)
本当にお疲れ様です。
次は4年後といいながらも、みんなが満喫してくれて本当に良かった
と言える満月堂さんは本当に家族思いなんですね!
キッチンに消えていった旦那様、かわいい♪
私としては旦那様もくわえた珍道中のお話を聞いてみたい気がします(笑)
by スペシャルエアー (2005-06-29 18:48)
ああ…ここにもコメントを頂いたままで…申し訳ありません~…(涙
魔の耐久旅行から、早や半年
今年の夏の予定を父が尋ねてきます…。
そんな私の最近の口ぐせは
「(∩゚Д゚)アーアーキコエナーイ」です。これは便利なひとことです♪
by 満月堂 (2006-01-04 15:11)